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篠田義一展 -作陶60余年のあゆみー

kinsai.jpg本展では、篠田義一の作品と関連資料約150点をご紹介いたします。尚、常設展示は山下大五郎、奥田郁太郎、小島孝子の作品を展示しています。



長野県を代表する陶芸家・篠田義一(長野県生れ、大正13年~)は、篆刻家であり陶芸家であった父の篠田鉄石(本名・弼ひつ、明治30~平成5年)に導かれ、陶芸家への道を歩みはじめることになりました。(義一は、母・今村常代と篠田鉄石との再婚により篠田姓を名乗ることになります。)
 父・鉄石は、千代村(現・飯田市千代)で尾林焼の流れを汲む天竜峡焼の篆刻陶器を創始した一人、篠田得斉(本名・四郎、安政6~昭和4年)の長男でしたが、鉄石は得斉同様、篆刻を熱心に学び、それで身をたてることを願うようになります。大正末、松本に滞在していた篆刻家・関野香雲(山形県生れ・明治21~昭和34年)に師事するため、家督を次男・欽(きん)に譲り松本へ出てきました。当初、松本に出てきた鉄石は、三男・啓(けい、明治40~昭和60年)や職人の轆轤びきによる器に篆刻をほどこす篆刻陶器の制作や、篆刻による看板制作の仕事をしています。
 鉄石の仕事はやがて篆刻陶器から釉薬による絵付けの陶器制作へと移行していきます。昭和戦前、松本市の鶴林堂書店で個展を行っていた京都粟田焼きの伊東陶山(二代目、明治4年~昭和12年)に、鉄石が師事するようになってからのことでした。鉄石は、後に独学に近い形で轆轤の技術なども習得、松本で女鳥羽焼と称した焼物を創始するなど陶芸の世界へもその身を投じていきました。
 義一は、父・鉄石に連れられ、鶴林堂書店で開催されている伊東陶山(三代目)の個展に通ったと言います。鉄石は自らが思い存分果たしたかったであろう陶芸の道を、息子・義一に託したかったのでしょう。義一自らも陶芸への道を志望、鉄石は、自分が師事した伊東陶山へ弟子入りさせることを願います。しかし、伊東陶山(三代目)の返答は「才能ある将来有望な師に就いて勉強した方がよい。」と、京都清水寺に陶業を独立創始していた近藤悠三への弟子入りを勧められることになります。伊東陶山(三代目、本名:信介、明治33年~昭和45年)らの紹介により、昭和17年、松本第二中学校(現・松本県ヶ丘高等学校)を卒業した義一は、近藤悠三への弟子入りが許され師のもとで修業することになりました。陶芸への道に一歩踏み出した義一ですが、時は日中戦争、太平洋戦争が激化していく最中、一時、陶芸への修業を中断余儀なくされますが、戦後再び、近藤悠三のもとで修業に修業を重ねます。
 やがてその努力は着実に実を結びはじめます。昭和23年、第1回長野県美術展覧会に入選、昭和24年には第5回日展で初入選を果たします。その後も引きつづき、昭和33年第7回現代日本陶芸展で朝日新聞社賞第三席、昭和36年には日本陶磁協会がその年の最も優秀な焼物を作った新進作家に贈る日本陶磁協会賞を受賞します。義一は長野県を代表する若手作家としてその頭角を現していきました。
 昭和37年3月には、京都から郷里松本浅間へと帰郷、浅間温泉に腰を据え、本格的な作陶に没頭する傍ら、全国規模の公募展で審査員を務めるようにもなります。以後、朝日陶芸展、中日国際陶芸展、(社)日本工芸会東日本支部の日本伝統工芸新作展でも連続して審査員を務めるなど、後進の育成とともに、長野県陶芸界をリードしていきます。
 長野県における陶芸水準をあげ、陶芸を地域のなかでより親しみやすくするため義一が尽力した一つに、当池田町にとっては忘れることのできない記憶があります。長野県下では飯田の尾林についで古い歴史をもつ、池田町の会染(旧会染村)に眠っていた相道寺焼窯業跡の発掘調査と、新・相道寺焼創始への協力です。
 昭和43年、相道寺焼窯業跡の発掘は篠田義一の指導の下に、初めて本格的な調査が行われ、その窯の全貌が明らかとなりました。これまで、あまり省みられる機会に恵まれなかった相道寺焼は、翌年、文化財保護法の規定により国の文化財として指定を受けることになりました。相道寺焼の興った地で再び焼物による地域活性化をしたいと願う人々への協力も惜しみませんでした。昭和47年には新・相道寺焼の開窯式へとこぎつけます。
 昭和戦前から義一の父・鉄石がこの相道寺の土を求め、焼物に使用していたことも池田町と義一をつなげることにもなりました。
 本展では、ひたむきに作陶にとりくんできた篠田義一の60余年にわたる作陶活動とともに、師・近藤悠三との出会いをはじめ篠田義一を生んだその背景をご紹介いたします。当池田町の相道寺焼との関わりも深い篠田義一を改めて顕彰する機会にしたいと考えております。

○開館時間 午前9:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)             ○入館料 大人600円(500円) 高・大生450円(350円) 小・中学生300円(200円)      ( )は20名以上団体料金  土・日曜日は小・中学生無料。       ○会期 平成18年7月29日(土)~9月24日(日) 休館日・毎週月曜日(但し月曜日が祝日の場合は開館、翌日休館)                           ○開催会場 池田町立美術館 常設展示室・特別展示室(2室)

投稿日: 2006年09月21日 | コメント (0) | トラックバック (0)

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