
2008年09月12日
ダンス展がそろそろ終盤となっているので、このところ秋冬の為の展示替え準備に追われています。
今年は春夏をそれぞれ約3ヶ月としたため秋の展示期間がかなり詰まってしまったので、やはり冬期期間(週3日開館で3月半ばまで)と同じにしようと決めました。
かなり忙しい(2室の)展示替えを再度1日で行わねばならない不安はありますが、また多くの方に楽しんでいただけるよう頑張っています。
2008年09月03日
ジャンセン館にある木彫作品について『作者はどなたですか?』といったお声を時折いただくのですが、この彫刻は隣接カフェのオープン当初に作家さんよりお祝いで(?)いただいたものと聞いております。
そしてこの作家さんのお名前こそが石本さんです。
今日、穂高駅前の観光案内所に立ち寄ったらポスターを発見したので『あ!石本さん朝日美術館で個展やってらっしゃるんですか?!』と伺うと『そうなのよ』こちらのチラシを見せてくださいました。
あまり部数が無いということで2部だけ分けていただいて(1部は館長へのおみやげにして)1部を受付に持ち帰ったのですが、今度『教えてください』とお声をいただいたら早速こちらをお見せしたいなぁと思っています。(このチラシの中に昔大変お世話になっていた、とても懐かしい方のお名前がありました。そういえば朝日美術館さんにおられると聞いていたのですが、お元気そうで本当に何よりです。…穂高へもたまには遊びにいらしてくださいね♪)
2008年07月07日
本日で春季企画展『Nature Morte』が終了となりました。
個人的にはジャンセン氏の静物がとても好きなので、沢山の方にご覧いただきたかったのですがやはり渋好みであることは否めませんかね…やはりどうも夏企画のお問い合わせの方が断然多いようです。
やっぱり皆さんダンス(バレリーナ)なのかなぁ…と、ほんの少ししょんぼりだったりもしますがご覧くださった方からは『今までジャンセンはバレリーナかベニスだと思ってたけど、静物も良かった〜!』といったようなお声もちらほらいただくことが出来ましたし、同時に静物のカタログやハガキ類などもいつも以上に人気が高かったようですし、静物の魅力を再発見してくださったことはとても嬉しかったです。
2008年06月18日
今夏のダンス展は、およそ9年振りのバレリーナ展ということで実はかなりドキドキです。
ダンスといえばやはりジャンセン=バレリーナと言われてしまうほど有名なシリーズですし、『せめて3年〜5年に一度はこの企画展を観たい』とご要望も一番多くいただくもの。…ならば逆に気軽にやってしまえば良いのかも知れないとも想うのですが、だからこそ毎年遠方から何度も足を運んでくさっている方々にいいかげんなものをお見せするわけにもいかないと…今度は焦るわけで。(苦笑)
2008年05月25日
そういえば前年に初めてロビーで壁面パネルを使いカシニョール作品を展示したときにも感じたのですが、この新緑の木立に白い壁面、そしてカシニョール氏の描く女性像というのはどの展示室で観るよりとてもマッチしているように思えます。
前年のセレクトでは『通年あってもおかしくないモティーフの作品』とか『有名どころを織りまぜつつ…』とか、何だか色々考えましたが一度展示してみると空間のイメージが持てるものなので今年は比較的スムーズに作品を選ぶことが出来ています。
2008年05月13日
4月19日から開催しておりました公募0号展が昨日で終了しましたので、本日は休館を利用してロビーの展示替えを行いました。
47名の方々による色とりどりの世界は沢山の方に楽しんでいただくことが出来ましたし、本当に良い展覧会だったなぁ…としみじみ感じています。
明日からはまたカシニョール氏の作品を併設展示として公開致しますので、ぜひジャンセン世界とともにお楽しみいただけたらと思います。
…画像は0号を掛けていた金具で展示の際には皆さまには見えなかったのですが、この三点ピンで止める部分が『ほ?』という顔に見えてかわいいなぁ…♪といつも思っていたので撮りました。
2008年05月12日
春期企画展『Nature morte(静物画展)』の中では作中に描かれた野菜篭(ジャンセン氏から直接譲り受けたもの)を始め、彼自身が実際に使用していた絵筆や画材等も資料展示として合わせて公開しています。
ところでこの作中の野菜篭をご覧になって、涙を流された方が以前おられたのでした。
そこで控えめに伺ったところ、日本にお嫁にいらしたそのフランス人女性も母国の家庭で同じ篭をお持ちだったそうで、おばあちゃまがとても大切にされていたのだとか。そしてその篭にまつわる想い出の数々をお話しくださったのですが、この篭の作品を目にされた時にそれらがその方の脳裏を駆け巡り、懐かしさと優しさに親近感を憶え心が溶かされました…といった素敵なお話しでした。
2008年05月02日
常設のなかでこれまでも幾度か展示を行っていた南川三治郎さんによる『アトリエの巨匠・100人』のパネルですが、これは2004年の出版の際に出版された書籍とともに寄贈されたものなのです。
しかしこれまで書籍の展示をしたことが無かったのでこの春の展示ではこちらもあわせて公開させていただきました。
2008年04月30日
当館ではこれが初の試みということで不安のあった一般公募展覧会ですが、この春の開催に向け最終的には47名のご参加をいただいて開催することが出来ました。
ご応募くださった方々は幅広い年齢層と視点がおありになったので、作品サイズは小さいながらもとても面白い展示とすることが出来たのではないでしょうか。
2008年04月28日
今年の企画展はどちらも大型のため、常設を絞り込んでふたつの展示室を使用しています。
そしてこちらは一階にある第一展示室の様子です。
構成段階で、大きさの極端に違う油彩作品がここに集まってしまっていたことで何度も修正をかけましたが最終的には館長の眼を通してこの形に仕上がりました。
2008年04月20日
今年度の常設展で初公開となった習作と一緒に、久々登場のこのダナエー。
これはギリシャ神話の中に登場するある女性を表しており、ジャンセン氏の【神話】シリーズの中の1枚です。
この神話のこの女性は、ジャンセン氏のみならずこれまでも多くの画家によって描かれているのですが、日本では他文明の神話世界を詳しくご存知の方はあまり多くないように感じますので、今日はこちらを少しご紹介させていただきたいと思います。
2008年04月13日
この数日、数人の手のみで下準備を重ねてきた全室の春期展示ですが、今日は館長やその他スタッフも加え一気に終盤作業まで行いました。
作業の最中には沢山のお電話を頂戴し、『今日はお休みですか?』『何とか入れていただけませんか?』といったお声を幾つもいただいたのですが、全体入れ替えでしたし館の各所が雑然としていてとてもお客様をお迎え出来るような体制ではありませんでしたので申し訳なくもお断りさせていただきました。
ただ、何も日曜でなくとも…と思われた方も多かったのではないかと思うのですが、連日多忙な館長の都合でどうしてもこの日しか時間をとることが出来なかったのです。(本当に申し訳ありませんでした‥。)
でもこれで、私たちも19日の再開には間に合いそうです。
再開と同時に3種類の展示がありますので皆さまもどうぞお楽しみに☆
※私物カメラまで持参で出掛けたのに、バタバタしていて1枚も撮影しないまま終わってしまいました…(トホホ。
2008年04月08日
昨日までの2007常設及び小企画展を終え、ジャンセン館は今まさに年度末を迎えています。
この時期の展示替えは全室で行うので、館内は一気にがらんどうとなって妙に寂しい。。
そういえば国立新美術館さんが開館される頃『収蔵作品を持たない美術館』と話題となっていましたが、それ以前にも同様の施設は各地に既にありました。そしてこういった館ではこの『がらんどう』というのが当然ニュートラルな状態であり、【何も無い】ことが【何でも出来る】となっているのでしょう。他にも、首都圏の館の中には企画展ごとに壁面や天井や床材に至るまで手を加え会場(美術館)全体をその時だけの異空間とし開催を重ねている館もあります。
…【何かある】ことが重要なのか、【異空間】が重要なのか。
2008年04月07日
本日の開館で、2007年度の展示をすべて終了致します。
昨日・一昨日と日差しも暖かく沢山の方にご覧いただけた当展ですが、今日は少し肌寒いようですね。
今日の展示の後は当館は19日が再開日となりここからは'08年度の展示(全室展示替え)となりますので、どうぞお見逃しのないようお出かけください。本日は16時閉館です!
上画像:2007常設(第二展示室)より
下画像;小企画展"Exposition posters"(第三展示室)より
2008年02月29日
応募締切りを迎えたことで公募0号展をご案内するものが館内に何も無くなってしまい、どうしようかなぁ…と思案しつつ急いで即席のご案内を用意しました。
作品の展示は来期の始めとなりますが(初開催だと言うのに)せっかく多くの方にご参加いただけたので、何かあった方が良いのではと思ったのです。
2008年02月27日
締め切りがいよいよ明日までと迫った公募0号展の作品が連日館に届いております。(嬉♪)
当初ジャンセン館としてはかなりおっかなびっくりな企画だったのですが、一足先に皆さんの作品を拝見する度に『こりゃ面白いね!』とスタッフ間でも話しています。
こちらは本日配送のあった作品群ですが、段ボールの方はなんと団体さまが一括で送付くださっていました。
2007年12月01日
久々の開館です。やっぱり日があくとコンクリートは冷えてしまうんですかねぇ…出勤したら外は晴れているのに館内は寒っ!(ブルブル~)『暖炉暖炉!!』と、早速点火しました。落葉と小枝を焚付けにして『ぽっ』『パチパチパチパチ…』薪がはぜる音と香りに包まれて、何だかうっとり…♪そんなわけで急ぎの仕事が山積みなのに私は暖炉ばっかり見てました。(笑)
それから今日は、信毎さんが来てくださいました。『展示の取材デスカ?w』と思いきや…もしや暖炉と日向にうっとりしてただけとか?…ナンチャッテ!(笑)
いいんです、嬉しいんです、ステキです、人を呼ぶジャンセン館♪(ウットリw)
皆さん是非気軽に遊びに寄ってくださいね〜♪
2007年11月27日
今朝10時に集合して、皆で展示替えをしました。
10時…って遅いですかね?(笑
いいんですよ、今日は本当は定休館の火曜日なので。
とはいえ最後は私だけになって、全て終えてみれば10時半…。どうも12時間頑張りました。
これは展示替え。
そして…
2007年11月26日
今日で、秋の企画展も終わりました。何だか結局今年はすっかり春夏秋冬企画になりましたね…。マニア向け企画のNUでしたが、これが意外にお問い合わせが多くて驚きました。そうですね…やはり絵を描いてらっしゃる方にはそんなに違和感無く入っていただけたのかも知れません。(ほっ)
さてさて。これで明日は展示替えを致しますゾ。また違った視点で多くの方に楽しんでいただけるといいのですが…。(ドキドキ)
2007年11月23日
9月上旬から始めたNU【裸展】も、いつの間にか残すところ3日のみ。
安曇野はここ数日急に寒くなったので、いつまでも裸を晒しているのではちょっと寒々しいかな?…。
いま当館では次の展示(Exposition posters)の最終準備を急ピッチで進めています。
当館には本来こういう時のために作ってある空額があるのですが、収納のスペースが限界になってからは市外に移しているため、今日は手を集めて大きな車で一気に運びました。(美術館は美術館で通常通り開館していました。)という訳で、来週の土曜には新しい展示で皆さまをお迎え出来そうです♪(ほっw)
2007年11月21日
今年度は100号クラスの第2展示室の作品を動かさないことを前提に、春から3種類の企画展を行ってきました。そのため裸展終了からは全て常設にしても良いかなと思ったのですが、春から始めたCarte d'〜の情報によると年度を通して全国各地から2度3度お見えくださっている方が多いようなので、感謝の心を込めて再度気合いを入れてこちらの小企画を準備しています。
昨日の日記でさすがなKさんは気がついてくださっていたようです(^m^)が、この企画は2003年に2部構成で行った『展覧会ポスター展』の抜粋になります。(詳しくは公式サイト内の過去記録をご覧ください。)
『ポスター』と言っても世界各地で開催されたジャンセン氏の展覧会では、そのポスターも特別にリトグラフで刷られているものが多く作品以上に入手困難となっています。また、これらのポスターはその時代を映しながらデザイン性にも優れた、見応えのあるものが多いのです。
2007年11月05日
今月に入ってついに0号作品の直接搬入期間となり、私たちも毎日ワクワクどきどきお待ちしているのですが、どのくらいの方がご参加くださるのか、どのテーマの作品が一番多いのか、まだ何にも全くわかりません。
でもお預かりした作品は大切に保管そして展示をさせていただき、終了後にまたきちんと皆さまの元へお返し出来るよう、収蔵作品と同じくらい注意を払っていきたいと思っています。
2007年09月14日
ポスターというと販売用のいわゆる写真撮影したポジフィルムから制作するものを思い浮かべがちですが、実はそうなめてかかってもイカンのです。(笑)
夏の企画展の時にも『ベニス展』『マスク展』『プロセッション展』『過ぎ去った時展』のものを4枚、作品とともに資料展示としましたが、これらのようにその昔(笑)、ジャンセンさんのところで展覧会用に用意したポスターの中にはリトグラフで刷ったものがあって、これ自体が作品のようになって価値が上がっていたりもするのです。
2007年09月11日
今年度最後となる企画展展示替えを今朝から頑張ってきました。いよいよ裸展です。展示替え…は…本当にすごーーーく大変です。(苦笑)
でも頑張って頑張ってどうにか乗り切るとマラソンで完走したように(?)高い山を制覇したように(?)ある種の達成感が……うーん、あるかな…?(笑!
達成感というかなんだろう…私はやたらホッとしますね。
2007年09月10日
今日はついに夏季企画展ITALIAの最終日。…なんです。何だか寂しかったり…(笑。
この水辺風景一斉展示も本日が見納めですね。
明後日からは心機一転、秋季展示(NU)になりますのでお見逃し無く〜!
ところで…
今朝から展示替え準備もしています。
なんだか観たことない絵がいっぱい(?!)…(驚。
こちらもお楽しみに〜♪♪
2007年07月21日
現在開催中の企画展「ITALIA」では、ベニスを中心にマスカラード(仮面舞踏会)やプロセッション(宗教行列)などを展示していますが、その他にもトスカーナの山を描いたものやアンティコリの街角や人々を描いたものを展示しています。
アンティコリというのはイタリア丘陵地帯にあるとても小さな集落なのだとか。かなり辺鄙な地域で、けれど急がない時間が流れる街…。
そこでなぜジャンセン氏がここを見つけ出し訪れたのか知りたいと、少し調べていたらこちらのページを見つけました。
山の斜面に建つために生まれる高低差、この不便さを利に変え美徳とするこの町並みの中にジャンセン氏は何を視たのか。。
少しでも資料が欲しかったのでこちらのページに記載のあったルドフスキーの『建築家なしの建築』を購入しました。
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2007年06月28日
このところ0号展出品のお申し込み者さまが増えてきて嬉しく感じております。
秋に向けひとまず春から仮準備で進めてまいりましたが、そろそろ程々の資料を作りたいと思っております。
こちらは、すでに受付でご住所等を頂戴しております皆様には出来次第送付させていただきますが、他にも検討されておられる方がおられましたらぜひお知らせくださいませ。
今日もご入館後に外で外観をスケッチくださった方がおられました。
後からお見えくださっていた女性の6人組も通りすがりにその方の描かれていた作品を(説明を受けながら)拝見していたようですが、皆さん感化されたのでしょうか?…その後すぐ各々が人物を入れずに構図を決め一斉にシャッターをきっておられました。
F0という小さなカンヴァスに表現することは却って難しいかも知れませんが、老若男女問わず集めさせていただき、作品とともに皆さんの視点をともに拝見するのが今からとても楽しみです。
2007年06月17日
春の再開(4/21)から同時に始まった企画展「Vieux et Enfants(老人と子供)展」がいよいよ明日までとなります。
ジャンセン氏が優しい眼差しで捉えた、天に近い彼らの静かで確かな存在をどうぞ感じてください。
そして火曜は定休で、水曜からは企画展部分の作品が入れ替わりイタリアカラーに染まります!
どちらもお見逃しなく!!
2007年05月07日
この春開催中の企画展では、沢山の老人や子供たちの様々な表情やしぐさを纏めてご紹介しています。
ジャンセンの描く対象は例え子供であっても安易に明るさや純粋さだけを現したものではなく、彼らの真実を鋭く見つめています。
彼らの中にこそ私たちは自身の過去にあった子供時代の秘めた記憶を呼び戻され、また老いていく自身を並んだ老人たちの中に見つけることでしょう。
2006年11月17日
…ああ黄昏、汝の如何に甘く優しきかな!
勝ち誇らんとする夜の威圧の下に、一日の縡(こと)きれる苦悩の如く、なお水平線に棚曳いている薔薇色の光、日没の最期(いまわ)の栄光の上に、濁った赤い汚点(しみ)をつくる諸々の燭火の火穂(ほのお)、東洋(ひんがし)の奥処(おくが)より眼に見えぬ手の抽きいだす重い絨毯、それらは、生命の荘厳なる時刻に於て、人の心中に互に相剋する、すべての複雑した情緒を模倣している。…
(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
2006年10月30日
開け放たれた窓を外観から見る者は、閉ざされた窓を透かして見る者と、決して同じほど多くのものを見ない。
蝋燭の光に照らされた窓にもまして、奥床しく、神秘に、豊かに、陰鬱に、惑わし多いものはまたとあるまい。
白日の下に人の見得るものは、常に硝子戸のあなたに起るものよりも興味に乏しい。
この暗い、または輝いた孔虚のなかには、人生が生き、人生が夢み、人生が悩んでいる。…(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
2006年10月28日
この心満てり、我れ今山上に立つ。ここよりして能く都の全景を眺め讃うべし。病院、娼家、煉獄、地獄、徒刑場。
かしこに一切の偉大は花咲けり、一輪の花の如くに、我れが憂苦の守護者、おおサタンよ、汝ぞ知る我れのかしこに行きしは、甲斐なき涙を流さんとにあらざりしを。
げに我れは、…
(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
2006年10月23日
…私は彼女を一個の太陽に喩えるであろう、光明と幸福とを降り注ぐ黒い天体をもしも考えることが出来るならば。しかしながら彼女はそれにもまして、紛う方なく彼女に怖るべき影響の跡を残したあの月を、なおよく聯想(レンソウ)せしめる。冷ややかな花嫁に似た、あの牧歌風の白い月ではなく、暴風の夜の底に懸けられて、走り去る雲に掻き消され打ち消される、あの物狂おしい不吉の月を、純潔な人々の睡眠を訪れる、あの平和な虔(ツマ)しい月をではなく、怖れわななく草葉の上に、テッサリアの巫女らが無慙にも舞を強いる、あの空を逐われた敗北と謀反の月を。…(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
2006年10月22日
常に酔っていなければならない。それこそは一切、それこそ唯一の問題である。汝の両肩を圧し砕き、汝を地面の方へと圧し屈しめる。怖るべき時間の重荷を感じまいとならば、絶えず汝を酔わしめてあれ。
さらば何によってか?
酒によって、詩によって、はた徳によって、そは汝の好むがままに。ただに汝を酔わしめよ。
(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
2006年10月08日
日が沈む。一日の労苦に疲れた哀れな魂の裡に、大きな平和が作られる。そして今それらの思想は、黄昏時の、さだかならぬ仄かな色に染めなされる。
かかる折しも、かの山の嶺から薄暮の透明な靄を通して私の家の露台まで、高まってくる潮のような、吹き募る嵐のような、ほど遠い距離がもの悲しい諧調に作りかえる雑多な叫びの入りまじった、大きな呻りが聞こえてくる。夕暮れが平静へと帰さないところの、夜の到来を魔宴(ザッパ)の合図ととり違える、この梟のような、不幸な魂は何だろう?この不吉な呻り声は、……
(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
続きを読む "LE CREPUSCURE DU SOIR(黄昏)" »
2006年10月05日
中国人は猫の眼のうちに時間を読む。
一日南京城外を散策しつつ懐中時計を忘れたのに気づいた宣教師が、とある少年に時間を尋ねた。頑是ない中華の少年は一瞬躊躇っていたが、また思い直した様子でこう答えた。「只今お返辞いたしましょう。」そして間もなく、大きな逞しい猫を両腕に抱いて再び現れた。そして人の云うように、その白眼をみながら逡巡する気色もなくきっぱりとこう告げた。「もうすぐ正午でしょう。」…(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
移り気そのもののあの月が、窓越しに、揺籠の中で眠っているお前の姿に眼をとめて、そうしてこう云ったのだった、「私にはこの子が気に入った。」そうして彼女はしずしずと雲の階段を下りてきて、音もなく硝子戸を抜けたのだった。
それから彼女は……
(三好達治訳:巴里の憂鬱より抜粋)
続きを読む "LES BIENFAITS DE LA LUNE(月の恩恵)" »
2006年09月21日
なんというか、ワクワク♪が始まりました。いよいよまた、あと数日で企画展が始まります。
そんなワケで、画像は8年振りに紐解かれているボードレール詩集です。
シャルル・ボードレールにほとんど詳しくない私は、読書の日々だったりもしています。たまに受付で読んでいると何だかサボっているように見えるかもしれませんが、これでもお仕事中なのです..。
(情けなくも恥ずかしながら)フランス語の原文のままでは読めませんので、やはり翻訳家の方のお力をお借りしています。本当は当然原文が持つはずの、風の向きや葉ずれの音までも味わいたいのですが私の不勉強な語学力ではそうもいかないので、沢山の翻訳され発行されている書籍を片端から読んで自身に染み込ませています。...ジャンセンの挿画が掲載された図録を片手に。