
1945年、常念山麓の西穂高村牧(現 安曇野市穂高牧)へ疎開した田淵行男(1905〜1989)は、生態が解明されていなかった昆虫たち—ヒメギフチョウ、高山蝶、アシナガバチ—の研究に取り組むとともに、安曇野や北アルプスの写真撮影に没頭する日々を過ごしました。博物学を学び、チョウの研究をライフワークとしてきた彼にとって、当時の安曇野はまさに理想郷だったに違いありません。
しかし、農業の近代化や観光開発といった時代の波は、人々の生活と価値観を変え、自然の宝庫だった安曇野も変貌してゆきました。山々の中に深く分け入り、鋭い視線で自然を観察してきた田淵にとって、変わりゆく安曇野の姿は耐え難いものがありました。
自然と人間生活の在り方について、メッセージを発信し続けていた田淵行男。地球温暖化が深刻さを増す昨今、ますますその意味は重要なものになっています。山には変わらずに雪形が現れ、足下には野の花が咲き、私たちに季節の移ろいを告げています。しかし、それらの風物はかつての安曇野と同じものなのでしょうか。本展が安曇野を見つめ直すきっかけとなれば幸いです。
会 期 平成21年2月24日(火)〜7月5日(日)
会 場 田淵行男記念館
観覧料 通常料金(個人:大人300円・中学生以下200円、
団体は各100円引き)
開館時間 9時〜17時
休館日 月曜日、祝日の翌日※4月30日(木)は臨時開館